「海よりもまだ深く」は是枝裕和監督の2016年5月公開の日本映画です。
阿部寛さんが演じるのは、妻子に逃げられた作家崩れの探偵・良多
月に一度の息子との面会を楽しみにしているが、養育費もままならずにいる。
ひょんなことから団地で1人暮らしをする良多の母の部屋に集まった良多と元妻と息子。
3人が台風で朝まで帰れなくなってしまい母の家に泊まることに。
そんな家族の一夜をユーモアを交えながら描いた作品です。
中年のダメ男ぶりを阿部寛さんが好演!
既視感を覚えるほどの樹木希林さんの自然体すぎる演技。2人のかけあいが絶妙です。
あらすじ
かつては賞を受賞したこともある作家だが、それだけでは食べて行けず今はしがない探偵事務所で働きながら生計をたてている良多(阿部寛)
別れた妻・響子(真木よう子)との間の小学生の一人息子・真悟と月に1回会うのを楽しみにしているが養育費もままならない。
元妻の新しい恋人や野球をする息子を陰からこっそり観察するわびしい日々を過ごしていた。
月に一度の息子との面会の日。良多は息子の真悟とともに母の暮らす団地を訪れる。
夜、真悟を迎えに来た響子。
淑子(樹木希林)に促され、しぶしぶ部屋に上がった響子だが、そうこうしているうちに、台風がひどくなり一晩泊まることになってしまう。
見どころ
元旦那の母の家に泊まることになってしまうという元嫁にとっては最悪の展開(笑)
そんな状況の中、元母と娘、元夫と妻、母と息子、それぞれの会話が展開されていく。
一晩だけの奇妙な家族の姿をほろ苦くもユーモラスに描いていきます。
感想
これまでさまざまな家族の形を描いてきた是枝監督。
「海よりもまだ深く」もまた家族を描いた作品です。
実家に帰ってきた娘(小林聡美)と母の会話
お金に困っているいい年をした息子と母
既視感のあるような家庭での光景や会話がなんともユーモラスに描かれていきます。
ジュースをカチコチに凍らせたアイスが固くて食べれない。なんていう会話は、笑ってしまうくらい誰でも経験したことのあるような日常の一コマではないでしょうか。
そんな一コマ一コマが重なりながらいつしか家族の関係性や人間の本質などをあぶりだしていくその手腕は見事と言うしかありません。
台風がやってくるという日。俺だって役に立つさという息子に母がベランダの植木を入れてと頼む。
すると植木を窓にぶつけて台風がやってくるという時に窓ガラスを割ってしまう。
そんなうだつの上がらない息子にさりげなく毒を入れながら会話をする母と「嫌なこと言うなぁ」とぼやきながら受け流す息子とのひょうひょうとした会話がなんとも面白い。
かつての作家としての栄光、別れた妻や月に1度しか会えない子供に未練を持ち生きている。
台風の日の夜に子供を公園へ連れ出したり、養育費が払えなかったり、一般的に言えばダメ父、ダメ夫。
大人になり切れない男の哀しさもあり、人間としての愛おしさもある。
「こんなはずじゃなかった」
を抱えて生きる大人たち。でもそれもまた人生。
何気なく交わされる母と息子の会話が面白く引き込まれる。
なんともいえないおかしみも感じるたわいもない会話の中に、ドキリとするほどの名台詞がさりげなく入り混じる。
深夜、テレサテンの「別れの予感」が流れる中、母と息子がしんみりと会話するシーンはとくにうならされた。
別れた家族が一つ屋根の下で一晩を過ごす。
それだけといえばそれだけのストーリーでもあり、好き嫌いは分かれる映画かもしれません。
でも私としては非常に面白かった。
それも、俳優さんたちの奇跡的ともいえる演技があるからこそ。
脚本と俳優陣の演技、すべての奇跡が重なってできた作品です。
「海よりもまだ深く」は2025年3月現在U-NEXTで見放題で配信されています。
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※この記事の配信情報は2025年3月11日に更新しました。感想は2019年9月18日のものです。
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