世界中で1000万部以上を売り上げている大ベストセラー「サピエンス全史」、その続編として発表されたのが「ホモ・デウス」です。
NHK BS1「“衝撃の書”が語る人類の未来~ホモデウス」より
2019年1月1日にNHK BS1スペシャルにて「“衝撃の書”が語る人類の未来~サピエンス全史/ホモ・デウス」が放送されました。
第1部「サピエンス全史」
第2部「ホモ・デウス」
番組では、本の内容を紹介しながら、第1部では「サピエンス全史」について池上彰さんが著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏をインタビュー。その衝撃の書の全貌に迫ります。第2部では今の現状を踏まえながら「ホモ・デウス」について解き明かしていきます。
「サピエンス全史」では私たちホモ・サピエンスがどこからきたのかをこれまでにない発想で示したハラリ氏ですが、続編の「ホモ・デウス」では私たちがこれからどこへ向かっていくのか?を提示します。
サピエンス全史で世界中に衝撃を与えた知の巨人ハラリ氏が示す、これからの人類に待ち受ける未来とは?
このページでは第2部「ホモ・デウス」の内容についてみていきます。第1部「サピエンス全史」についてはこちらでまとめています。
再放送・見逃し動画
再放送はこれまで2回ほどすでに放送済みですが、BS1スペシャルについてはしばらくしてまた再放送があることもありますので、こまめに番組表などチェックしているとまた放送されることもあります。(ただし確実に再放送があるとは限りません。)
再放送 NHK BS1
2020年12月7日(月)午前9時~10時50分
2020年12月13日(日)午前0時50分~午前2時30分
で再放送決定!
放送内容
長い歴史の中で、地上の支配者となった私たち人間=ホモ・サピエンス。
「フィクションを信じる力」により地上の覇者となり、農業革命を経て、資本主義を確立し、経済的豊かさを得た人間はこれからどこへ向かおうとしているのか?
その先の未来を描くのがサピエンス全史の続編ホモデウスです。
これまで私たち人間は苦難に直面すると神に祈りをささげてきました。
しかし「ホモ・デウス」は、今世紀中に「人間が神に進化する」と予言します。
「人類は、人間を神にアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス(神の人)に変えることを目指すだろう」
人間が神に進化するとは一体どういうことなのか?
未来を考えるうえで鍵となって来るのが生物工学、人体拡張技術、AI(人工知能)です。
AIやバイオテクノロジーは古代神話では神にのみ与えられてた能力をわれわれに与えました。
これは人類史上大変革なのです。
生物工学
人間は生物工学により、自らの遺伝情報を書き換え、遺伝情報を操作できるまでになっている。
それは不可能を可能にする技術革新。
2018年、中国の研究者がゲノム編集した双子が生まれたことをネット上で発表したことが世界中で話題になった。
彼は人間の受精卵の遺伝情報を書き換えるゲノム編集を行い女の子を誕生させた。
中国では研究が進み、多くの動物の遺伝情報を書き換えられるようになり、その中には人間も含まれる。
ゲノム編集は病気、肥満、体質改善からはじまり、のちには生まれてくる子供の外見や知能を思い通りにしようとするデザイナーベイビーの誕生へとつながっていくだろう。そしてそれは格差へつながっていく。
「どのように体や脳をつくるかががわかれば事実上わたしたちは神なのです。」
そして、今まさに私たちは神になる道を歩んでいる。
これまで人間の力を増大するために、私たちは道具をアップグレードすることに頼ってきた。
だが、将来は人の心と体のアップグレード、あるいは道具との直接の一体化にもっと依存するようになるだろう。
からだにマイクロICチップを埋め込む人
脳と機械がつながることにより遠隔操作で手を動かすこと
目が見えない人に脳内で映像を見せること
脳に埋め込まれたチップで飛行機を動かすこと
このように脳と機械の融合が進んでいく。
ホモサピエンスはホモデウスへ
神の力を得ようとする人間、その背景には人間至上主義がある。
AIや人工テクノロジーの融合により、自らをホモデウスにアップデートした人間。
その時、格差はより広がっていく。
飢饉、疫病、戦争を克服した人間が次に向かうのは、老化、病気、死の克服。
究極の幸せを求めて外見も美しく、学力もより高く。より洗練された人間へとアップデートしていくこと。
しかし、人間ならだれもがホモデウスになれるわけではない。
ホモデウスになれるのは一部の特権的な階級の人のみ。ホモデウスになれなかった人々は無用者階級となる。
「進歩の列車に乗る人」と「後に取り残される人」
後に取り残される人は一体どうしたらいいのだろう?
私たちの未来はどうなる?
今膨大なやりとりが行われるインターネット上の「ビッグデータ」はこの10年で20倍以上に増えている
これまで処理しきれなかったデータが、AIの力で処理され、他人の心をのぞき込み、何を望んいるのか、欲望を支配することができるようになっていく。
たとえば、AIを使ったローン審査
人をスコアで判断して利率や借入限度額が決まる
これまで以上に正確な性格診断
金融のあり方も根本的に変えていく。
「AIが社会の変化を加速する」
しかし、逆にAIが私たちを飲み込んでいく可能性もある。
たとえば、中国ではAIの活用が急速に進んでいる。
アリババグループが開発したアプリでは、個人の信用度をスコアで表し、より高い点数を高いほど自慢となる。
支払い履歴、位置情報、交友関係などあらゆるデータをもとにAIが個人を採点。
たとえば、高級レストランに行く人、点数の高い人と交友がある人などが評価が高くなる。
未払いや滞納、ルールを守らない人は減点。
このスコアをもとに、企業の割引制度や婚活などにも活用されているという。
感情をもたないAIが支配する次の世の中は一体どうなっていくのか、予想することはできるが、予想通りになるかどうかはわからない。
感想
かなり衝撃的な内容でしたが、しかしそれは想像上の出来事などではなく、今世界中で着々と進んでいる現在進行形のことなのです。
この番組を見て思ったのは、このような出来事や今世界で起こっている出来事に目を背けることなく、もっと関心を持ち、自分がそして子供がこれからどのように生きていくのか?考えていかなくてはと思いました。
特にこれから大人になっていく子供たちにはこれからの社会に対応できるような人間になっていかないと、私たちがこれまで生きていた以上に厳しいのではないかと感じました。
ハラリさんも番組の最後で子供たちに対して「彼らは歴史上はじめて成長したときどんな世界になるのかわからない時代を生きている」と言っています。
もっとも大切なことは「月並みだけど自分自身を知ること」というハラリ氏の言葉が印象的でした。
※BS1スペシャル「ホモ・デウス」は2021年12月28日まで配信予定です。
配信は終了しました。
※ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界 ~海外の知性が語る展望~」は2021年4月8日まで「緊急対談 パンデミックが変える世界 ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」は4月22日まで配信予定です。
予定は変更となる場合があります。最新の情報はU-NEXT公式サイトでご確認ください。